絵本は、子どものものと決めつけるのはもったいなくて大人も楽しめるものとか大人の鑑賞に耐えるものこそ本物だという意見に賛同する部分もありますが、絵本を選ぶ基準として捉えると心許ないと思います。
絵本というジャンルは、特に明確な基準がないからです。
例えば公共図書館では絵本と児童書を別のジャンルとして登録しています。
すると自分では絵本だと思っていた本が、児童書のコーナーにあり、児童書だと思っていた本が、絵本のコーナーにあるということが起こったりします。そして図書館によって違うこともあったりするのです。
絵の分量や本の形態なども決め手になるとは限りません。本が作られる段階で作者自身が読者を限定せずに書かれることもあれば、具体的な年齢層の読者をイメージして書かれることもありますし、出版の段階で何歳向けなどと購入者を絞り込んで販売促進につなげる事もあります。
ましてや本は読者が選ぶもので、読者としては制限されたり、介入されたくないものです。
けれど読みたい本を選ぶためには読書の経験値が必要です。子どもの場合その経験値が少ないので、自分で選ぶのは、とても難しいのも事実です。
そして特に未就学児が絵本と出会う時は誰かに読んでもらうことで本として出会うのです。読んでもらうという事は、選んでもらう事と同義ではありませんが、割と近い関係にあると思います。
声に出して読むとその本に対する読み手の価値観がにじみ出ます。物語の内容に引っ掛かりを覚えるような絵本をおはなし の会で無理に読む必要はないと思います。また教え導くためのものを選ぶ必要もないと思います。
聞き手の子どもたちと読み手の私たちは絵本の前では対等です。聞いて伝わるもの、一緒に楽しめるもの 絵がきちんと見えるもの。を選ぶことが大事だと思います。