これしかない感じ

 新しくおはなし を覚える時、言葉が口に乗るとか乗らないという言い方をする。

 おはなし をはじめたばかりの頃は、使われている言い回しとの相性で、言いやすいか言いにくいかのことかと思っていた。もしくは再話者と自分の言葉の使い方の違いだとも思っていた。

 最近は、おはなしを覚えている段階で、もう他の言い回しは使えない、これしかないという表現だと思えるようになってきた。多分この状態が口に乗るということなのだと思う。

 ぴったりすぎてこれしかないと思えるためには、イメージがきちんと固まっていないとできないことでもあるのだとようやく思い至った。

 イメージの固め方が甘いうちは、なぜこういう言い方になるのかわからないというか、同じ描写でも2回目3回目の言い回しが違ったりするのは、覚えにくいと思っていた。けれども言葉が変わるのは必然なのだ。一見同じ行動でも状況が違うのだ。使われる言葉が違うのは当たり前だと思う。

 言葉がぴったりはまる爽快感は、ストーリーテリングの醍醐味でもあると思う。ようやく見えてきたこの世界を子どもたちと楽しみたい。