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集団に読み聞かせをしようと思ったら その1

 まずは、たくさんある絵本の中から1冊に決めなければなりません。

 その際、まず注意するのは、絵から感じる印象です。

 当たり前ですが読み聞かせを聞く子どもたちは絵だけを見ています。そこへ物語が声で伝えられるのです。

 このためストーリーテリングで行っているイメージを固める作業は、絵があることで完成しています。

 私たちはこの考え方で読み聞かせをしているので 読み聞かせとストーリーテリングは同じと捉えているくらい絵本の絵は物語世界を支えていると考えています。

 次に絵と文章が同時に楽しめるかという点をチェックします。具体的には絵読みができるかを見ます。

 絵読みは、活字を読まずに絵だけを追っていって物語の内容が絵から読み取れるかを見ることです。

 これをすることで、絵の数 描かれ方が物語に合っているのか、絵と文章のバランスが取れているのかがわかります。

 絵本と一口にいっても様々なタイプのものがあります。

 特に最近は、絵本はおとなも楽しいもので、楽しめるという考え方が浸透してきているので、新しく出版されるものは、自分で活字を追いながら楽しむタイプのものが増えているような気がします。絵だけ見てわからないものは、どんなに心惹かれても残念ながら、集団の読み聞かせには向きません。

 次に考えるのは、子どもの世代です。読み聞かせをしようとする対象が、同一年齢の集団なのか、年齢に幅があるのかで、選ぶ絵本が変わります。注意が必要なのは年齢に幅がある場合です。基本的には、一番幼い子に合わせることが多いです。なぜなら、年嵩の子どもは、下の年齢の子どもに合わせられますが、年下の子は年上の子どもに合わせられないからです。集団で楽しむためには集団を円滑に保持することが大事です。

 後は、絵が見えるかどうかです。絵が物語世界を支えている以上、見えないことには伝わりません。絵本のサイズや色彩で単純に判断できないので注意が必要です。