集団に対する読み聞かせを始めようとする方の質問で圧倒的に多いのが、読み方に対するものです。けれど読み聞かせの場合、読み方が関与できる部分は皆さんが思っていらっしゃるよりずっと少ないのです。
特に絵に力があればある程、物語の世界観が完璧に成り立っているので、不用意に声で表現しようとすると、絵を見ながら聞いている聞き手が混乱します。
読み手が大切にしなければならないのは、読み方より絵本を選ぶことです。絵本が物語の世界観を過不足なく表現できているかどうかが見極められることが大事なのです。
そして「読み聞かせをしようと思ったらその1」でお伝えしたように、集団に対する読み聞かせに向く絵本が選べたら、実は読み聞かせは8割方成功です。
子どもたちの前で読むのだからと、読み方の練習に励むより、絵をよく見ておいてください。どんな絵が描かれているのか知らずに読むと、絵の力が充分伝わらず、もったいないことになります。
絵をきちんと把握して読んでもらうのと、なにが描かれているのか意識せずに読んでもらうのでは、物語の伝わり方が違います。
これは、読み方などに気を散らさず、子どもと同じように、絵だけに集中して物語を受け取ればわかります。
そしてどうぞ読む練習ではなく、聞く練習をしてみてください。絵に集中して聞くと、子どもがどう受け取っているのかが見えてきます。最初は、なかなか絵に集中できないかもしれません。
けれど意識的に集中しようとしているうちに、絵だけを見て物語を聞くことがどんなことなのかがわかってきます。これがわかると、どんな絵本が読み聞かせに向くのかが、わかるようになってきます。