· 

新しいって

 人間は、目新しいものにひかれ、見たことのないものに、興味をひかれる習性があります。

 ですから、おとなは、絵本を選ぶときも見たことのない、新しいものに魅力を感じることが多いように思います。

 けれど、新しいと言うことを基準にすると、出尽くしている感じがします。絵のない絵本という手法が出てきた時に特にそう感じましたし、手を替え品を替え、似たような絵本が生み出されているとも感じます。

 絵本という媒体で表現したいという画家さんが増えたということ、子どもに限らず、絵本を支持する人が増えたということも関係している気がします。

 これらは非常に歓迎すべきことで、絵本の世界が広く豊かになったのだと思います。

 けれど、そのことが、絵本を選びにくくしている気もします。様々な意図で表現された絵本から選ぶには、選ぶ側の意図がないと選べないからです。

 ジョーン・エイキンが『子どもの本の書きかた』で書いている、子どもが子ども時代に読むべき本はすべてもう書かれている。と言うのはあながち極論ではないと最近思います。

 そして子ども、特に自分で読む以前の子どもは、何か決め手になる一冊との出会いを求めているのではなく、絵本を読んでもらう時間がもたらす満足感を、そしてその積み重ねを楽しんでいるのではないかと思います。

 そう考えると、読み聞かせは、基本的には親子や日常生活を共にする家族間のもので、集団での読み聞かせは、特殊なものだと意識することが大事です。 その上で、読み手がその絵本に心惹かれる理由を意識することが大事だと思います。