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さらば 上手な読み方

 読み聞かせをする人が上手な読み方という物差しを持ったままだと、絵本が主役の読み方がつかめないことが多いと感じてます。

 読み聞かせは声を使うものなので、読み聞かせを聞いたことがなくとも、何となく上手な読み方というものが、漠然と読み手の中にあることが多いです。

 その基準は、俳優さんの朗読だったり、幼稚園保育園の先生の話し方だったり、様々ですが、問題は漠然と捉えているところにあります。

 声を使った表現は、多種多様で、どこで使われているかで、答えが違います。他では使われない特徴的な使い方をされていれば、区別つきやすいのですが、境目が見えにくいものもあります。

 特に専門家がいるようないないようなジャンル、朗読とか読み聞かせは、様々な他ジャンルの専門家が参加しているために、混沌としていると思います。

 ただ注意深く聞いていると、読み手の背景、どこに比重を置いた活動をしていらっしゃるのかを感じ取ることができます。

 当たり前ですが、読みの違いは、それぞれのジャンルで一番効果的な使い方が研究されているからです。

 そして読み聞かせ以外のジャンルの読み方がどんなに素晴らしくとも、絵と文章を同時に楽しめるかは、また別の問題です。

 注意しなければいけないのは、絵本の読み聞かせで上手だと感じる読み方の場合です。絵本を見せながら行う、読み聞かせでは、主役は絵本です。読み方が上手と感じた時点で、絵より読み方が目立っている可能性が高く、絵本の世界に入り込めない状況を作っている可能性が高いからです。

 とりあえず、上手な読み方という感覚を忘れてみてください。絵本が主役の読み方が見えてくると思います。