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読んでもらうと見えてくるかも

 読み聞かせで困っていることとして、よく聞くお悩みは、選ぶのが難しいという声です。

 いろいろ伺っていると選ぶのに苦戦している人の多くは、聞く側、読んでもらう側の体験が薄い人ではないかと感じています。

 読み方の話でも取り上げましたが、絵と文章を同時に楽しむスタイルなのが、読み聞かせです。これは、家族間でも集団でも変わりません。

 ですから、絵が主役として読む人に読んでもらった体験が多いほど、絵本がどう伝わるのかが実感でき、読み聞かせに向く絵本がわかるようになります。

 また自分は子ども時代に読み聞かせをあまりしてもらわなかったとおっしゃる方もいらっしゃいますが、読んでもらう体験は、子ども時代のものに限りません。

 ただ、おとなになってからの体験で、注意しなければいけないのは、うっかり活字を追いながら聞かないようにするということです。活字を追ってしまうと読んでもらった経験になりません。必ず絵だけをみて物語は聞くというのが、読んでもらうということです。

 そして、おとなは意識的に読んでもらう機会を作らないと、読んでもらえないというのは容易に想像してもらえると思います。読んでと言われることはあっても、読んであげると言われることは、ほとんどありません。

 私たちは聞き合う場を勉強会と呼んでいると以前書きましたが、そういう意味で勉強会は読んでもらう絶好の場所です。

 何度も言いますが勉強会を読み方を学ぶ場と捉えるのはもったいないと思っています。私たちの仲間内では、読むより、聞く方が好きという人も多いです。絵と文章を同時に楽しめ、絵本の力を存分に感じることができるからです。