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聞き慣れること

 私たちが、おはなしの会を定期的に開いているのは、聞き慣れることが、「聞く力」を育て、物語に浸ることが容易になると感じているからです。

 基本の活動場所である、図書館だけでなく、出張おはなし の会として、保育園、学校、児童館などでも、できるだけ定期的にやりたいとお伝えしています。そのため、出張おはなしの会を含め、基本年間計画で活動しています。

 私たちは、家庭文庫のような聞き手が固定した場所で週一回ペースでつみかさねていく活動場所を持っていないので、「聞く力」が育っていく実感を持つ場所があまりありません。けれど、きちんと積み重ねると確実に「聞く力」はついていきます。

 例えば、10年くらい続けておはなし の会に通った小学校があります。その時は、低学年の間は、月1回ペースで、それ以降は年1回というペースで続けさせてもらいました。特に可もなく不可もなく、淡々と積み重ねていたのですが、回数が増えるにつれて、自分たちの持ち話だけでは、足りない状況になり、プログラムを組むのが大変だというのが最初の感想でした。

 けれど、子どもたちの聞いた話が、30を超えてくると、語っている私たちにも、聞き方が変わってきたことが実感できてくるようになりました。 

 家庭文庫では1年間で聞く位の数を何年もかけて聞く状態でしたが、それでも変化は感じられました。

 その後、私たちの事情もあり全ての学年で年一回という形で続けていますが、やはり何話聞いたかが、聞き方に現れると感じています。図らずも聞き慣れることの重要さを実感していますが、それでも続ける事に意義があると考えています。

 効率が求められる時代ですが、私たちは、劇的な変化やわかりやすい成果が見えにくい活動をしていると思います。けれど、着実に届ける必要があるとも感じています。