始めないと始まらない

 イメージの豊かさの話をしましたが、豊かさがないから、豊かになるまで語らないと思ってしまったら、多分、語る日はこないと思います。

 豊かさは、自分でどうこうできるものではないと思います。誰かの話を聞いて、ああ豊かなイメージだと感じることや、心に響く体験を積み重ねていくことで、いつの間にか豊かになるかもしれないし、ならないかもしれないというものだと思います。

 心に響くことは、個々同じではありませんし、出会うタイミングによる部分もあります。誰かとおしゃべりしたこととか、おいしいものを食べたとか、特別なことでなくとも、日々降り積もる感じで溜まっていくのだと思います。

 一方、イメージを固めることは、意図的に行うことだと思います。

 そして固める以前に言葉とイメージが連動しない感じだとしたら連動させることを習慣にしてほしいと思います。

 おとなの場合、読書経験があるので、イメージがゼロというパターンは、ほぼないと思います。普段意識していないので、イメージがぼんやりしているのです。これをくっきりさせるところからがスタートです。イメージを固めるというのは、言い換えると言葉から思い浮かぶものをくっきりさせていくとも言えます。

 とりあえず、主人公と主人公がいる場所、そして主人公が関わる人、物がくっきりしたら、物語が動きます。主人公も年齢と性別がはっきりすれば服装や髪型まで固定できなくても大丈夫です。場所も屋内か屋外かがはっきりすれば建物や風景までくっきりしなくても物語になります。必要最低限のイメージを固めることから、やってみてください。

 ストーリーテリングは、語ってみないと、わからないことが多いと思います。イメージを固めることを意識して、始めてみてください。