絵本を見分ける時に、時代が評価を通した絵本という言い方をします。時代を超えて支持されてきたという意味で、優れた絵本は、古びることなく何世代にもわたって支持されることを表しています。
私が絵本を学び始めた頃は、25歳以上の本という言い方もされていました。自分が子ども時代に出版された福音館のこどものともが、ちょうどそのくらいの時間が経っていたので、妙に納得しました。
月刊紙で毎月読んでいた絵本が、ハードカバーで出版し直されて、買って読めるものと、手に入らないものがあったので、実感として受け止めたのです。
時代が評価を通す本は、時間が流れると自然に結果が出るので、出版された段階で、それが判別できるかどうかという、目利きの問題だと思ってきました。
けれど、最近それだけではない部分があるような気がします。
出版は、市場原理から自由にならない部分があるからです。それをも凌駕するだけの力を絵本に求めていきたいと思ってきましたし、そうあることが望ましいと思うのですが、最近はそうもいっていられない状況かもしれないと思うのです。
理由は、本を買って読むということを、必要としない層が増えていると感じていることにあります。実際、町の書店は減っています。インターネット書店があるから買って読まないと一概には言えないと思われるかもしれませんが、少なくとも、子どもがインターネット書店で絵本をねだっているとは考えにくいと思います。
他にも、子どもの本でいうと、私たちが育った時代、子育てをしていた時代は、絵本を保育園、幼稚園などで定期購入して読むということは、特別なことではありませんでした。
けれど、最近は、様々な理由から無理に買って読む必要はないという人が増えているように思います。
加えて定期購入も絵本ではなく雑誌系のものへの支持が高くなっているようです。
もちろんブックスタート事業や図書館利用といった方法でも、子どもたちは絵本とであっていけます。
けれど、時代が評価を通した本は、買い支えてきた人がいるということでもあります。
要因が複雑に絡み合って、どうしたらいいのか、簡単に答えが出る問題ではないとは思います。
自分のできることなど、たかが知れていますが、買って残すということを考える時期が来ているのではないかと感じています。どうしたらいいのか、簡単に答えが出る問題ではないとは思います。