私感ですが、読んだことのない本を読むというのが、いつの間にか新刊を読むということと同義になってきているような気がします。
今まで出版されてきた本どころか、新刊ですら、読み切れない数が出版されています。
そんな中で、賞を企画することで、賞レースの行方を楽しみにしたり、受賞作品を読みたくさせたりと読者の関心を集める手法が広まっている感じがします。
これが読者に支持されていることもあり、より新刊に注目が集まる仕掛けになっていると感じています。
これはおとなの読者には、面白い仕掛けだと思いますが、これを、子どもの本や、絵本に当てはめると、違和感が生まれると思います。
理由は、受賞作品というのは、基本買って読んでもらうことを前提に考案された方法だと思うからです。
以前ほど求心力がない印象ですが、芥川賞などの受賞作品は、旬がある感じで、受賞後、時間が経ってから読むのでは、物足りないと感じる仕掛けのような気がします。そのため購入する方向に読者が向かいやすいと感じます。
ところが、子どもの本、特に絵本は、子ども自身が買う場合がないとはいいませんが、読者=購入者ではないことが多いと思います。
すると、子どもではなく、購入者であろうおとなにアピールする、おとなが支持する本が賞をとっていく傾向を排除できなくなります。
その辺は、賞を企画する側もわかっているので、今度は子どもが選んだというキャッチフレーズがついたものが出てきたりします。
でもこれも違和感があります。投票制でたくさんの子どもがおもしろかったという本ということは、誰が投票したか何人が参加したかで結果が違うものなので、賞として成り立つのか微妙な印象になるからです。
そこまでして、新刊にこだわる必要があるのかと考えると、子どもの本に関しては、新刊にしがみつく理由はないような気がします。
ただ以前も書きましたが、買って読むということは、安定して出版が行われるためには必要だと思います。新刊以外でも購入していくことで、出版が安定してくといいなぁと思っています。