· 

ピントを合わせる

 ストーリーテリングや読み聞かせは、語ったり、読んだりして、伝えることです。これは、極端に言えば、技術だと思うのです。仕組みや理屈が理解できたら、できるようになるというものではないと思うのです。

 自分のことを振り返っても、今だから説明できるということがたくさんあります。何かの拍子にできたことが、再現できるようになり、それが定着すると、説明できるという感じです。言葉にできないと、理解できていないということではないと感じています。

 最近、勉強会で、よく口にしていますが、ピントを合わせる感じなのです。

 具体的には、いろいろ試行錯誤して良かれと思ってやっていることが、本当に目標としていることにつながっているのかを、再確認してみること、アドバイス通りにやっているつもりが、本当にアドバイス通りなのかを客観的に観察することでピントが合うのだと思います。

 子どもが自分で読むことを楽しめるためのストーリーテリングであり、読み聞かせだという目標は、スタッフ全員がわかっていることですが、ストーリーテリングや読み聞かせをすること自体で、目的に沿っていると思いがちです。

 大事なのは、語り方や読み方という伝わり方や伝え方を意識できているかどうかなのですが、そうすると、やり方を言葉にして理解しようとすることに比重がかかりがちです。

 私も、先生にアドバイスしていただいたことを言葉で受け取って、自分をコントロールしてきたつもりですし、それを口にして仲間にも伝えてきました。

 けれど言葉でいうことができても、実際できないことの方が多いことは、当たり前のことすぎたせいか、意識できていなかったと愕然としています。

 でも、遅ればせながら、ようやくピントが合って、技術として身についたと感じるようになってきました。

 言われた通りにやっているといった自分の語り方についてではなく、自分のストーリーテリングや読み聞かせがどう伝わっているのかに視点を変えると、ずっとわかりやすくなるかと思います。