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変わっていっても変わらないもの

 今年度、コロナ禍の中で、人との距離が変わり、マスク生活になりました。今までやらなかったことを、生活に組み込まなければならず、最初は違和感ばかりでしたが、ようやく習慣になってきた感じがしています。

 このように新しく守るべきことを取り入れて変わってきた生活の中で、以前からやっていたことの見直しが起きていると思います。濃厚接触をさけたやり方を工夫して続けていくことと、今はやめざるを得ないこと、そもそも必要ないのではないかと思われることが、時間と共に見えてきている感じがします。

 私たちも、今回の事によって、本とおはなし の会を、なんのためにやっているのかを、もう一度整理することになったと感じています。

 私たちは、子どもたちが自分で読んで楽しめるための、橋渡しをすることが、どんな状況でも譲れない点だと思います。

 具体的には成長過程に合わせて、その時期に楽しめるものを一緒に楽しんでいるだけです。ただ使う物語や絵本は、読んだり語ったりして、聞いて確かめることをします。子どもたちと一緒に楽しめるかを確認します。

 こだわっているのは、子どもたちが、物語に浸る体験を守るという点です。

 集団に語ったり、読んだりして物語を渡していますが、物語に浸る時は、それぞれ子ども自身が、物語と向き合えるよう、外から脅かさないことが大事だと考えています。

 物語に浸る積み重ねは、どんな状況になっても必要だと私たちは考えていて、私たちにとって変わらないものだと思います。

 なんの苦もなく読めれば、物語に浸ることが、いつでもできますが、放っておいて、なんの苦もなく読めるようになるわけではないところが問題です。

 もちろん放っておいても読めるようになる子もいると思いますが、放っておいて読める子の方が少ないので、集団で物語に浸る機会を作っているのだと、感じています。