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変わっていっても変わらないもの その2

 変わっていっても変わらないものという言い方をお伝えしていて、時代が評価を通すという言葉を思い出しました。

 時代が評価を通すという言い方は、主に絵本を見分けるときに、使っていますが、実はストーリーテリングで使う昔話も時代が評価を通すが当てはまると思っています。

 昔話に関しては、時代を超えて変わらないものという言い方の方がぴったりくるかもしれません。

 改めていうまでもないことですが、生活様式は、時代に合わせて大きく変化します。

 例えば100年前は、戦中だったことを差し引いても、生活に必須の設備や機能が大きく違います。そして、口伝で伝わってきた昔話は100年どころか、もっと古い時代から人と共にあり、今に伝わっています。

 昔話という言われ方をしていますが、現代に生きる私たちに通づるものがあり、人間が本質的には変わらないことを感じさせてくれると思います。

 生活様式が変わり、おはなし の中に出てくるものも、子どもたちの生活の中いにはないものが増え、だからわからないのではないかと言われることもあります。

 日本の話ですと、囲炉裏、かまどなど、ほぼどの家庭にもないものから、襖、障子、畳、など、家庭によってはないもの、衣服や履き物なども見たことがないかもしれないものも出てきます。

 物だけでなく、生活の糧や、交通手段、人間関係などから倫理観も変化してきています。

 それでも、物語の核となっているものは、人間の本質であり今に通づる物だと思うのです。

 ですから、どんなに時代が変わっても変わらないものがあるというのが、昔話のおもしろさでもあると感じています。

 もちろん、それを子どもたちに解説する必要は全くありません。というより解説してしまったら、昔話の良さが失われると思います。

 語り手である、私たちが、物語の流れを子どもたちがスムーズに追えるよう、しっかりイメージして伝え、子どもたちが物語に浸れれば、将来、子どもたち自身が気が付く日がくるかもしれないことなのだと思います。