聞き手が同じ

 私たちは図書館でのおはなし の会を活動の基本としています。

 図書館でのおはなしの会をしていると、聞き手は同じメンバーにはなりません。継続して聞きにきてくれる常連さんはいらっしゃいますが、いつも同じメンバーにはならないからです。

 一方、以前にもお伝えした文庫でのストーリーテリングは、聞き手がほぼ同じメンバーで固定されています。文庫は、習い事に近いルールで、会員登録した子どもが、決まった曜日の決まった時間帯に通う場所です。おはなし も聞き手の子どもたちの顔を思い浮かべて選ぶことができます。

 ストーリーテリングは同じ聞き手に、継続して聞いてもらうと、おはなし がどう伝わっているのかがわかりやすいと感じています。私たちは聞き手に物語を渡している、届ける側だと思いがちですが、聞き手と語り手は、セットで磨かれていくというか、育ちあうのだと思います。

 そう考えると、図書館でのおはなしの会だけでなく、聞き手が固定されていて継続して聞いてくれる場も大切していく必要があります。

 私たちが出張おはなしの会に出かけている保育園、学校、児童館などは、聞き手のメンバーが同じ場所です。

 ただ、文庫は、本を借りたくて、おはなし を聞きたくて集まっている子どもたちの集団ですが、私たちがやっている出張おはなしの会の現場は、おはなしで集まっている場ではないため、勝手が違うと思われるかもしれません。

 けれど、今までおはなしや絵本が大嫌いだと思っている子どもにあったことがありません。私たちが行っている現場の子どもたちは、おはなし や絵本が好きでも嫌いでもない感じなのだと思います。ですから文庫とスタート地点が違うだけで、マイナスをプラスに変えるわけではないと考えています。

 せっかく同じメンバーに継続して語れるのですから、一回ずつ点で考えずに年間の変化を意識して、聞き手と育ちあいたいと思います。