ストーリーテリングはいつから?

 子どもたちがストーリーテリングを聞き始めるのは、どのくらいの年齢かと聞かれることがあります。

 それは、子どもたちに聞く準備ができたらだと思います。

 聞く準備が何かといえば、言葉からイメージを受け取れること、物語が日常に取り入れられていること、物語を楽しんだ経験があることだと思います。

 これらは、どれも特別なことではなく、子どもたちが生活していることで培われるものだと思います。

 そして、どれも何歳までに身につけなければならないといったことではないですが、放っておいて身につくものではないと思います。

 言葉からイメージするというのは、話をする中で、目の前にないものを話題にできることから始まると思います。

 子どもが言葉を習得していく過程を思い浮かべてください。

 言葉の出始めの子どもたちは、目に見えたものを言葉にして、周りの人と言葉で共有していきます。その段階を過ぎると、今度は、目の前にない物でも言葉で共有できるようになり、固有名詞を覚えて物を体系立てたり、時系列を身につけたりしていきます。

 言葉からイメージを受け取れるというのは、言葉だけでやりとりすることを日常的に取り入れ出した状態を想像しています。これは、何か特別なことをするより、子どもに関わっているおとなとのやりとりがまずは大事だと思います。

 物語を楽しんだ経験は、絵本を生活に取り入れることで、子どもたちが身につけていくことではないかと思います。そしてその過程で、物語が日常に取り入れられる状況ができます。ここで問題になるのは、子どもたちの生活を支え、生活のリズムを作っているのは、おとなだという点です。残念ながら玩具箱に絵本を入れておけば、絵本を楽しむようになるわけではないのです。スマートフォンが普及し、子どもたちの手の届くところに、それこそ玩具箱より身近にあります。そして幸か不幸か機器の発達で、音声認識で操作可能なため、言葉が喋れるようになると祖父母世代よりも使いこなしている時代です。スマートフォンは子どもがひとりで遊べる最強のおもちゃとしての地位を確立しつつあります。そんな中で、おとなと一緒に楽しむ絵本は、おとなが意識的に取り入れないと、放っておいたら、子どもの楽しみの一つになれないのです。

 この環境の変化は、地味に子どもたちに現れていると感じています。実際ストーリーテリングを始める時期を遅くせざるを得ない状況が続いています。

 働き方が変わり、おとな世代の忙しさは十分承知していますが、おとなと一緒でないと育たないものがあるのも事実だと痛感しています。