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違和感を言葉にしてみる

 私たちは、語り手です。語り手は、言葉の感度が良い方が豊かに語れると感じています。これは感情を込めるという意味ではなく、物語の場面や状況を説明するために、言葉の選択が重要だからです。言葉にしてみることは、感度をあげるための練習になります。

 こう書くと、子どもたちにも感想を言わせて言葉にすることを練習させたらと思う人がいるかもしれません。

 私たちが子どもたちに感想を求めないのは、受け取ったものを外に出したいタイミングで出して欲しいと思っているからです。それは子どもが言葉を習得している過程で、本当に使いたい言葉をまだ持っていないかもしれないという配慮でもあります。そのためこれも言葉の感度を鈍らせないことだと考えています。

 けれど、私たちおとなは、逆に意識的に言葉にすることで、感度が上がると思っています。

 特に、感覚的な部分を言葉にすると言葉の精度が上がることにつながると感じています。

 そこでおすすめなのが、ストーリーテリングをする際の疑問を言葉にしてみることです。私もそうでしたが語り始めたばかりの時は、何がわからないのかもわからない状態だったと思います。けれど経験を積んできた今だからこそ、言葉にできることが増えているはずです。私たちは、いかに言葉で伝えるかということに取り組んでいます。語り手側の実感、語った際の違和感などを言葉にすることで、テキスト以外も言葉にしてみることを試してみて欲しいと思います。