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 ストーリーテリングや、読み聞かせをするにあたって、声についてあまり意識することはないと考えてきました。自分が教わった、聞き手の一番うしろの子どもに届いているか考えることを意識するというやり方で、問題が起こったことはなかったからです。

 けれど、コロナ禍になりマスク着用が標準になった今、状況が少し変わってきたと感じています。

 マスクをした状態の自分の声が、どう聞こえるのか予想しきれないことがあるからです。回数をこなすと今までと同様に子どもの目を見ていれば、聞こえているのかどうかはわかると思います。けれど今回スピードも必要かと思い変化に対応するためにあえて意識的な対応を考えました。

 マスク着用で意識したいことは、3つあります。

 ひとつは声の大きさです。マスクに吸収されて、マスクなしで話した時より声が小さくなるという意識が必要です。思い切って声を出しても、思ったほどの声で届いていないと思って大丈夫だと思います。経験が教えてくれる感覚を忘れて、新たな気持ちで子どもと向かい合う必要がありそうです。

 ふたつめは、滑舌の問題です。マスクで、どうしても唇が動きにくくなります。動かしにくいという自覚があるうちはいいのですが、マスク生活が長くなり、唇を動かさないで話す癖、無意識にマスクがずれない話し方が身についてきている気がします。これも意図的にくっきりはっきりいうぞという意識を持つ必要が出てきています。

 最後は、マスクを選ぶことです。素材は一番飛沫を防ぐと言われているので不織布のものを使いたいと思っています。不織布のものは3層構造になっていますが、中でも一番内側にガーゼを使ったものが声が通りやすいように感じています。サイズも大事で、マスクは大は小を兼ねないと感じています。大きすぎるマスクは、ずれやすく話しにくいです。あとは、ダブルワイヤーのものや、マスクの内側に空間を作る物など、話しやすいものを選んで欲しいと思います。人がいいと言ったものが自分が使いやすいとは限らないのが難しい点ですので、普段から試して欲しいと考えています。