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物語を受け取る

 勉強会をしていて思うのは、やはり聞くことが重要だという点です。聞き手にどう伝わっているかは、聞き手として受け取ってみないとわからない部分があるからです。読み聞かせに苦戦している人は、読み聞かせを聞いた経験が少ないのではないかと思います。読み手の側しか知らないと、自分で改善できることだけに集中するので読み方に工夫をこらすことが、読み聞かせがうまく行く方法だと考えがちです。

 私たちが読み聞かせでやりたい事は物語を渡すことだと考えています。読み方より、渡すことが重要だと思うのです。

 そして物語を渡すために読んでいるのですが、絵だけ見ながら文章を聞くという状態でどう伝わるのかがわからないと、必要な読み方がわからないのだと考えています。

 そのために聞く体験が必要だと思います。それも、他の人がどう読んでいるかという読み手の視点ではなく、絵と合わせて聞く状態はどう渡された感じがするのかに集中して物語を受け取ることが大事だと思います。

 加えて絵についても同じようなことが言えます。文章に合わせて絵だけ見ることが子どもがどう絵読みをしているかの理解につながります。読み手は文章と一体となった絵を知ることが必要です。絵読みというのは何が書いてあるかを正確に理解することで、絵からイメージを膨らませることではありません。絵だけ見て物語を聞くとわかりますが、絵からイメージを膨らませる時間がないのです。当たり前ですが自分で読む時と違って集団での読み聞かせは聞き手の都合に合わせて止まれません。聞き手になってみると思いの外、サクサクと物語が進むことに気がつくと思います。

 このように物語を受け取ることに終始することが、読み聞かせを聞くことであり、勉強会が必要な理由です。物語を受け取る経験が読み手を育ててくれると思います。