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長さの問題

 読み手は、絵本を読む時に物語の長さを気にすることがあります。これは聞き手の子どもたちの聞く力に合わせようとするからだと思います。物語が長くなればなるほど、聞き手が集中する時間が長く必要になり物語を聞き慣れないと集中して物語についていくことが難しいと考えるからだと思います。この場合意識しているのは、読むのにどのくらい時間がかかるかという時間の長さだと思います。

 けれど長さを考える時にはもう一つ意識して欲しいことがあります。それは、物語がスムーズに流れているかという点です。私たちは時代が評価を通した絵本を読むことが多いので、同じ絵本を読み手を変えて聞く機会があります。すると同じ絵本でも、長さを感じたり感じなかったりすることがあります。

 聞いていて長いと感じる時は、絵を見ていても間がもたないのでおとなでも気が散り、物語がスムーズに進まない感じがします。読み聞かせで物語がスムーズに進むためには、絵に任せて読む必要があります。絵に任せないと本来なら物語を進める推進力になるはずの絵がその役割を果たせずに、実際の分量よりも物語を長く感じさせてしまうと思います。

 そこで聞いた時に長いと感じるかどうかを長さを判断する基準にして欲しいと思います。実際、読んでといわれたら身構えてしまいそうな絵本もありますが、聞いてみたらおもしろくて長さを感じなかったという経験は誰にもあると思います。私は最近勉強会で聞いた『ぞうのババール』が想像以上に聞きやすくて驚き、絵に任せることの重要性を再認識しました。

 読み聞かせも読書の入り口として考えている私たちが、時間のかかり方で計る物語の分量を気にしすぎるのは好ましいことではないと感じています。自分が読書をする時に、本の厚さや文字の大きさを気にしていないのと同様に、長いと思い込まずに基本に忠実に聞くことで判断していきたいと思います。