四月馬鹿

 4月1日といえば、エイプリルフールが浮かびます。言葉は浸透していますが、日本の文化として定着しているかといえば、そうでもない印象です。私自身思い返してみてもエイプリルフールに合わせて嘘をついてみたことがないと思います。エイプリルフールの起源は諸説あり、お作法も様々なようですが、日本でエイプリルフールが広まったのは大正時代だそうで想像以上に年季が入っているのだと驚いています。当時は四月馬鹿として広まったそうですが、個人的にはエイプリルフールより好きな語感です。

 嘘から思い出したのですが、昔話は洋の東西を問わずほら話があります。日本の昔話でぱっと思い浮かぶのは「まのいいりょうし」です。『おはなしのろうそく21』で読めます。

 ほら話は、想像上の生き物や超自然的な事象が語られることはほとんどなく、現実に即していながら、大袈裟に表現することであり得ない状況を語っていきます。この大袈裟加減がおもしろさを形作っているので、嘘と違って騙したり騙されたりしないことが特徴だと思います。奇想天外なことが起きるので子どもも楽しめますが、ほら話の爽快感はおとなでないと味わえないと思います。そしてほら話はストーリーテリングで聞くと強張った心を柔らかくしてくれる気がします。