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お約束

 私たちが図書館でやっている「本とおはなしの会」は、最後に子どもたちがシールを貼っておしまいにしています。シールはたくさんある中から子ども自身が一枚選び、その子の名前を書いたカードに自分で貼ってもらいます。シールを貼ったカードは次回またシールを貼れるよう置いていってもらいます。そしてカードがいっぱいになったら持って帰ってもらいます。シールは一枚だけ選ぶこととシールを貼ったカードは置いていきシールが貯まったら持ち帰るというのがお約束です。

 このお約束ですが、シールを貼ったカードを持ち帰れないことでシールをもらえなかったと感じたり、欲しいものがいくつもあって一つを選ぶことに納得できなかったりするようで、子どもにとって意外と難しいことです。特に3歳より小さい子どもたちのクラスは、思うようにならないと泣いてしまう世代でもあり、対応に迷うところです。けれど保護者の方がこちらの趣旨を理解してくださり、子どもの説得にあたったり気をそらせてくださることでこのお約束を守ってきました。

 子どもと関わるときに、このようなおとなの連携はとても重要だと感じています。泣いて訴える子どもには1対1だと押しきられてしまうこともありがちですが、複数のおとなが関わることで回避できるからです。また継続して参加している子どもたちは、はじめはお約束を守れなかったとしても必ず守れるようになります。回数を重ねることで自然と身につくのです。

  お約束は、子どもに負荷をかけるものです。ボランティアという立場で子どもと付き合う際、無理に負荷をかける必要はないという考え方もあります。成長するにつれて守らなければいけない決まりは増えるし楽しいだけでいいのではないかと考えることもあります。けれど子どもたちは家庭の外で過ごす時間が増え社会の一員として育っていくのです。そう考えるとお約束は社会性を育む小さな芽だと思います。ちょっとしたことですがお約束に出会っていくことも大事なのではないかと思っています。