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伝えたいこと

 伝えたいことがあると伝え方を工夫します。けれど何を伝えたいかで工夫の方向が変わってきます。こうして文章にすると何を伝えたいか分からずに伝えようとする人はいないと思われそうですが、何を伝えたいか自覚せずに伝えようとすることは珍しいことではない気がしています。そして何を伝えたいかを整理するとどうしたらいいのかが見え工夫が活きてくると感じています。

 意識しなければいけないのは、伝える時は必ず相手がいて相手がどう受け取るかが重要だという点です。

 例えば理解が目的の場合は正解がきちんと伝わっていることが大事です。この場合受け手に関しては知識や理解力を考慮する位で、どう受け取るかまで踏み込まないことが多いと思います。正確に伝わったかが大事なのでレポートやテストで確認したり質問を受けるといった理解を確認することが受け取り方の判断になります。

 では何を伝えたいかを語り手に当てはめてみます。

 私たちはストーリーテリングや読み聞かせを通して物語を伝えています。私たちの目的は、物語の形をいじらずにそのままの形で聞き手に受け取ってもらうことです。そして物語は丸ごと受け取らないと真価を発揮しません。ですから私たちは物語をそのまま丸ごと受け取ってもらえるための工夫をしています。語り方や読み方、どんな物語を選ぶのかも工夫の一環です。ですから私たちと目的が違えば、同じ語り方読み方になりませんし、選ぶ絵本などが違ってくるのです。このように伝えたいことがはっきりしていると、どうすればいいのかが見えてきますし、何のために聞きあって修正をかけているのかがわかります。伝えているのは自分です。言われた通りにやっているから大丈夫と安心しないで、何を伝えているのかを意識し続けることが大事です。