· 

信頼関係

 マスク生活が長くなってきて思うのは、コミュニケーションは言葉だけで成り立っていたのではないのかもしれないということです。

 子どもと関わるときだけでなく、おとな同士の関係でもマスクの影響を感じます。特に初対面の人と話をする時にマスクをしているために、真意を図りかねることがあると感じています。想像以上に言葉だけでなく表情や顔色まで含めて相手の意図を受け取っているようです。

 合わせて顔の作りから受ける印象というのも関係性の基盤なのではないかと思います。明確な理由をあげられる訳ではない、なんとなくの印象というのは顔の作りから受けているようです。それは今マスクを付けた顔しか知らない知り合いのマスクを外した素顔を見て、印象が変わるという体験をする機会があるからです。

 マスクを付け続けるなら、いっそのことマスクに主張させるという人も出てきています。するとマスクに覆われていない目元よりもマスクに目が奪われ強い印象を残します。これは意思疎通という点ではどうなのだろうと思います。写真のように一瞬を切り取るという点ではインパクトのあるマスクは効果的ですが、交流という点では相手からのアプローチを必要としない感じもします。飛沫の拡散を減らしたいならできるだけ喋らないという考え方もあります。そして喋らなくても自分を主張でき、自己紹介代わりだと思えばインパクトのあるマスクもいいのかもしれません。

 けれど人と人との関わりは一過性のものだけではありません。できればやりとりを続けて、ひととなりを感じて、信頼関係を築きたいと思うのです。全員がマスクをしている状態は私たちにとって初めての出来事です。そして思ったより長期間マスクを使うことになりそうです。マスク装着を前提とした人間関係をつくることを意識しないと、信頼関係が築けないのではないかと感じています。