本好き

 SNSで興味深いツィートを見ました。例え年間数冊しか読まなくても本好きは本好きだという趣旨のツィートでした。食べることが好きなことと対比していて説得力があり、好きという度合いは冊数や食べる量では測れないという意見でもっともだと思いました。

 けれど微かに引っかかるものがありました。確かに冊数では測れないとは思いますが、本が生活に占める割合だったらどうなのかと思ったのです。読書は活字を追っている時間だけでなく、その内容について考えている時間も読書に含まれていると思います。年間数冊しか読まなくても本が好きという人は、その本の内容を活字を追わずに反芻したり思い返したりして物語を味わっている時間があるのではないかと思います。読書は冊数ではないという時、分量が違うものを同じにカウントするのはいかがなものかとずっと感じていました。冊数を問題にしている時、活字を追う量だけでなく読書の捉え方も含んでいたのだとツィートから気がつきました。そして本好きにとって物語に浸ることは特別なことではないので、活字を追っていない時間について言及されることが少ないのかもしれません。本の読み方や楽しみ方は千差万別です。これでなければならないという形はないのです。けれどストーリーテリングをしていこうと思ったら、活字を追わずに内容に思いを馳せる時間が大事で、本好きがストーリーテリーングをする場合が多いのもそのためではないかと思うのです。そう考えると内容を繰り返し反芻してイメージを固める作業の先にストーリーテリングがあり、ストーリーテリングが聞く読書だというのも納得だと思いました。