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かわいいと感じる

 主観に左右されるかわいいという感覚は基本的には基準として当てにならないと思われていますし、実際には贔屓目というフィルターがかかることが多いと思います。けれど私たちはおはなしの会という短い時間で子どもたちに接しています。それもストーリーテリングや絵本を読むという限られた手段で関わっています。そんな中で子どもの反応がかわいいと感じることは大事なのだと思います。これは子どもと密接な関係でないからこそ客観的にかわいいと思えるのでしょう。それはいい悪いではなく子どもの反応の切実さを受け取るからだと考えています。子どもが育つ過程でたくさんのおとなが関わった方がいいというのは、親子の様な密な関係でない方が子どもの言動をそのまま受け止めやすいからではないかと思います。私たちは自分が感じるまま子どもの言動を受け止めていっていいのだと思います。

 ただ気をつけないといけないことは、感じることと子どもに伝えることは違う点です。素直に感じていきたいのですが感じたことを自分の中に留める事が大事だと考えています。どうしても伝えたい場合は保護者の方か保育者の方に伝えるのが正解だと思います。意識でコントロールされていない思わずこぼれる子どもの反応は一瞬のきらめきのようなものです。多分それがおはなし の会で感じるかわいいの本質だと考えています。子どもは変化していくものです。子どもに感じたまま伝えると子どもは意図的にその反応をするようになってきらめきが失われると感じています。子どもに関わるおとなたちが「あーかわいい」とただ感じていくことは、子どもが育っていく環境には必要だと思います。