読む力

 ストーリーテリングは読む力と密接に関係していると考えています。そのため語り手は読む力との関連性を知ることでストーリーテリングの特徴をより知ることができると思います。

 一般的には字が読める事が読む力だと考えられていますが、字を覚えても読めるとは限らないと読みはじめの子どもたちと付き合ってきて感じています。

 読みはじめの子どもたちは文字を判別することに集中します。そして判別した文字の組み合わせが単語になっていることは、比較的容易に理解できると感じています。単語の理解は、文字の組み合わせから、その物のイメージに結びつけることで成立するからです。具体的には り ん ご と文字を拾って、ああ りんご だと受け取ることです。この様に普段から見聞きしているものに関しては簡単に活字から単語を拾うことができます。ですから単語に関しては普段の生活の体験が重要なのではないかと思います。

 そして単語の組み合わせが文章になりますが、この文章の理解にストーリーテリングは関係していると考えています。ストーリーテリングは登場人物の行動の描写で物語が形作られています。誰だどうしたという文章で成り立っているとも言えます。ですから文章が動きとしてイメージしやすいのです。そして聞いた瞬間にぱっとわかるように作られています。文章がイメージと結びつくので文章をどう捉えていくのかがわかります。

 次は文章をつなげて場面として捉えながら物語の展開についていくのですが、これもイメージとして語り手が伝えてくるので、文章の連なりから自分で想像するより物語が受け取りやすくなります。文章がどう組み合わさって物語となるのかを聞いて体験することができるのです。

 ストーリーテリングをする際、語り手がイメージを固めることを重視するのは、物語の理解は言葉からイメージにできることが必要だからです。そしてストーリーテリングが読む力の助けになるのは、聞き手が活字を追わなくても聞くことで物語をイメージで受け取ることができるからです。 

 ストーリーテリングが読む力に関係していると考えているからこそ、私たちは読書を楽しむ未来の仲間を増やすという目標を掲げておはなしの会に取り組んでいるのです。