· 

聞き上手が大事

 読み聞かせもストーリーテリングも、長く続けていると自分の読み方や語り方の変化に自分で気がつくことがあります。物語を伝えるためにどうすればいいのかということの理解が深まるにつれて、読み方や語り方に何が必要かが判断できるようになるからだと思います。このように読み方や語り方には進化する技の部分があると思います。けれど勉強会で読み方語り方を学ぶつもりで読み方語り方に集中すると逆に読み方語り方に何が必要かが見えなくなると思います。私たちがしているのは物語を伝えることです。伝え方だけ見ていると伝えられる側の感じがわからなくなります。どう伝わるのかがわからないとどう語るのかがわからない状況を生みます。どう伝わるのかが伝え方に反映されるからです。まるで卵が先かにわとりが先かのような話ですが、読み聞かせやストーリーテリングでは伝わり方を知ることが先です。そのため聞くことが大事、聞けばわかると言われているのです。聞いて楽しむことの経験が語り手を育てます。それはベテランも初心者も変わらないと考えています。以前は物語は自分で読んだ方が楽しめると思う事もありましたが、聞くことを前提に作られた昔話などは聞かないとおもしろさがわからない場合もあることが見えてきました。聞き続けることで見えてくるものが増えると感じています。