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やっぱり

 コロナ禍で人同士の距離を取ることが日常化してきています。そんな中で小学校の学校図書館での読み聞かせをどう行っているのかを伺いました。

 ご存知の通り小学校では図書館の時間がカリキュラムに組み込まれています。そして図書館の時間に学校司書の読み聞かせをすることが定着してきています。そのため一斉休校以降、聞き手同士の距離をとりつつ、読み聞かせに取り組まれているそうです。お話を伺った学校では、最初は読み手は今まで通りのやり方で読んでいたそうですが、絵が見えないために子どもたちが落ち着いて聞くことができなかったので大きなモニターに絵本の画面を映し出して読み聞かせをするようになったそうです。とりあえず見えることを保証すると読み聞かせとしては成立するので、今のところこの形に定着しているという話でした。ただ絵本の読み聞かせなのに子どもたちが画面を注視することで物語が進むことをどう捉えたらいいのか迷っていらっしゃるとのことでした。

 お話を伺って、絵が見えてこそ読み聞かせなのだということが確認できたと感じました。やはり読み聞かせは耳で物語を聞きながら絵を追うことで絵と文章を同時に楽しむものなのだと思います。これは読み聞かせをするならまず押さえなければならないことだと再認識できました。

 次に学校司書の方が心配されていたモニターを介することに関してはメリットとデメリットがあると感じました。

 メリットは見えることが保証されるので今まで使いたくても使えなかった遠目が効かない絵本が使えることが挙げられます。また文章まで拡大されるので、絵の少ない挿絵的なものでも読み上げ機能のような使い方ができ活字を追うサポートができる可能性が考えられます。ただ読み上げ機能のような使い方に関しては、既に絵本の読み聞かせの範疇を超えるので、別枠で考える必要があるかもしれません。

 デメリットは画面を介するので聞き手が本という実感が持ちにくい点です。そのためモニターを使った読み聞かせが読書の入り口になるのかは疑問が残ります。そしてモニター越しでいいのなら、何も紙媒体の本にする必要がなく、最初から電子書籍でいいのではないかという議論が起きそうです。このモニターを使った読み聞かせが、コロナ禍が起こったための緊急避難的なやり方になるのか、学校図書館での読み聞かせの定番になるのかを見ていきたいと思いました。