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ボランティア

 私たちは図書館ボランティアとして、ストーリーテリングや読み聞かせに取り組んできました。ボランティアを目指したのではなく、職業として成り立たなくてもストーリーテリングや読み聞かせは必要なことで誰かがやるべきことだと思ったからです。ボランティア活動には自由な意志で行う「自発性」利益を求めない「無償性」公平に相手を尊重する「社会性」必要に応じて工夫する「創造性」が必要だと言われています。けれど会の発足当初から私たちは「無償性」に関しては必要不可欠の条件ではありませんでした。無料であることの危うさはボランティアをする側にもボランティアを活用する側にも生まれると考えたからです。

 そしてボランティアを取り巻く環境は活動を始めた頃から大きく様変わりしてきました。震災などの大きな災害のたびにボランティアの活動が注目され社会的に認知されるようになったこと、それに伴いボランティア活動をしたい人が増えたこと、そして経済成長の停滞と共に公共サービスの担い手として行政などが積極的にボランティアの活用を始めたことが様変わりの要因だと考えています。「ボランティアって何?」「ただ働きするなんて生活に余裕があって羨ましい」と揶揄された事を思えば、隔世の感があります。

 しかし今度は私たちの生活様式が変化してきました。多様性という考え方が浸透して幸せな生活の形がひとつではなくなりました。そして経済成長の停滞どころかマイナス成長になり、定年後も働くようになり子育て世代でもフルタイムで働く状況になってきています。経済的に厳しい状況の中で「無償性」が前面に出ると以前にも増して活動の内容自体に影響が出ると感じています。無料に問題があるとして以前有償ボランティアという形で料金を決めて取り組んだグループも出ましたが、労働に対する対価として料金設定すると「無償性」以外の部分からも外れると感じます。図書館ボランティアとして「自発性」「社会性」「創造性」を十分発揮していきたい気持ちは変わりませんが、「無償性」の扱いが難しいと感じるようになりました。ボランティアという枠に囚われすぎずに、自分たちのやりたいことが守れる事を優先にし、時代の変化に合わせて活動の仕方も考えていく必要が出てきたように感じています。