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変化しても大丈夫なように

 子ども時代の変化は成長と密接につながっているので、好ましいものとして自他ともに受け止められます。けれどある一定以上の年齢を重ねると今度は変化が欠点として捉えられるようになる気がします。欠点として捉えられことは容姿などを考える時に顕著に現れ、歳を重ねても20代から30代の姿に見える人は美魔女などともてはやされます。実年齢との差が大きければ大きいほど評価されるため衰えを感じさせるものを欠点として捉えいかに排除していくかに焦点があたります。これは試験で満点を取る感覚に近いと思います。いかにして満点を取るかという工夫は達成感があり好意的に受け止められることが多くアプローチの一つとして効果的なものです。

 けれどストーリーテリングや読み聞かせでは変化は欠点ではないと考えています。ストーリーテリング や読み聞かせは、「物語が伝わること」が大事です。そのためにふさわしいテキストを選び、絵本を選び、イメージに沿って語ります。そしてテキストや絵本が主役なので勝手に言葉を足したり引いたりしません。ただこれを忠実に守ることだけを考えていると満点を狙う感覚になってしまうと思うのです。ストーリーテリングや読み聞かせは語り手と聞き手の共同作業で作られるものです。お互いに影響しあうことがストーリーテリングや読み聞かせの醍醐味だと思います。そしてこれは変化を伴うものです。変化することと物語に忠実に正確に語ることは両立ができます。私たちは勉強会でこの感覚を体得し、変化しても物語が壊れないように練習しているのだと思います。