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私たちのしていること

 聞き手同士の距離をとったコロナ対応のおはなしの会は、コロナ禍の終息を待つ間だけのもので、終息したら以前のやり方に戻ることを前提のものとしてやってきました。当初はおはなしの会が開けること自体が嬉しく前進したと感じていました。けれどこの状況も2年目に入り、コロナ対応の距離感をとってきたことで集団に対する読み聞かせの意義についてもう一度考えたくなりました。

 まず読み聞かせは必要だと考えています。繰り返し何度も読んでもらうことは、言葉の習得に欠かせないもので、言葉が何を指し示しているのかの理解が深まることに繋がっています。そして子どもたちを観察していると本人に学びという意識が生まれず、自発的に聞きたがるため発達と深く結びついている印象を持ちます。この聞きたい時期に聞かせることが言葉の習得としての読み聞かせの基本だと考えています。そして言葉を喋り始める時期の物の名前を知りたがる頃から自分で読み始める頃までの期間がその時期にあたると思います。もちろん読み聞かせには言葉の習得以外の目的もありますが言葉の習得という点に特化すれば、この時期の子どもにとって読み聞かせをするのが誰であっても実は構わないのだと思います。そして私たちは意図せずにこの言葉の習得の部分の読み聞かせを担おうとしてきたのだと思います。

 そう考えると、コロナ対応の距離を置いても絵本を見ることができる数が、本来集団としての最大数なのかもしれないと思います。持ち方や座り方に工夫を凝らして、できるだけたくさんの子どもたちに同時に読み聞かせをしようとしなくてもいいのではないかと今思っています。手間を厭わずに聞き手の数を減らして読む回数を増やすなどの対応がこれからは必要かもしれません。合わせて受け入れ側にも私たちの意図が伝わるような発信をすることも必要になってきそうです。