· 

リストを振り返って

 先日、自分が作った古いリストのチェックをしました。過去のリストを見て図書館の蔵書と同じく、子どもの本に関しては定期的な見直しが必須だと感じました。時代が評価を通した本として読み継がれている本が基盤になっていますが、それのみでリストを作っているわけではなかったからです。

 子どもの本は、読み継がれている本さえ読んでいればいいと言えない部分があります。ですから要望は多くても、何年生向けといった必読書のリストというのは作りにくいと感じてきました。私は、子どもに勧めるなら今の風をほんの少し入れつつ、読み継がれている本を渡したいと考えています。時代が評価を通した本は魅力的で子どもたちにぜひ読んで欲しい本ばかりですが必読書のように扱ってこれさえ読んでおけば良いと考えるのは乱暴だと思うからです。学ぶ方向や目指すものが定まることで必読書が決まると思います。極端に言えば必読書は人の数だけあるのだと考えています。子どもたちのこれからの長い読書生活を考えると個々に合わせた対応が必要で、たかだか50冊とか100冊で解決するとは思えないからです。そして時代が評価を通した本だけでも50冊や100冊には収まりきれません。時代が評価を通した本だけに拘ったとしてもリストにするのは難しいと考えています。それもあって私の作ったリストは時代の風を入れたものになっています。そのため見直しが必要だと感じました。時代が評価を通した絵本は古びなくても、時代の風を反映させるために入れた絵本は古びるからです。

 同時にリストを作る私自身の応用のなさにも気づきました。例えば、読み聞かせに向いていると考えた時に、今子どもたちに持っていくならという視点でしか作ることができていないのです。読み聞かせに向くといってもそれだけを基準に子どもに渡すわけではありません。読み聞かせをする側に必要なのは絵本の基準を知ることです。読み継がれている本の特性や特徴を理解することで比較対象ができ絵本を見分ける目を持つことになるからです。今まで私は読み手と聞き手を分けて考える事ができなかったのだと思います。時代が評価を通した絵本だけのリストというのは読み手にとっては必要なものだと感じました。