姿勢の問題

 ストーリーテリングをする時、声の散ってしまう広い空間で、聞き手同士がお互いに離れて距離を保った座り方をしているので以前より声が必要になっていると何回か書いてきました。そのため喉に負担がかかり、声のコントロールに苦戦しています。そんな中、小学生60人にストーリーテリングをしました。半分の人数でも子どもたちに伝わる声量を保つのに精一杯になっていたのですが。思いの外すんなり話すことができ60人という人数が苦になりませんでした。理由を考えてみたら苦戦した時との違いは、語り手の姿勢です。60人なので教室は使えず、視聴覚室で距離を保って床に座って聞いてもらい、語り手が椅子に座って語りました。このため身体のコントロールがしやすい姿勢のまま視線を合わせることができ、楽に声を出すことができたのです。ここのところ、ストーリーテリングをする場所が教室や図書館で、子どもたちが椅子に座って聞いています。そのため語り手は立って語ることになり子どもたちと視線を合わせるために腰をかがめた不自然な姿勢をとっています。その姿勢で声をコントロールしようとするために、負担が大きいのだと気がつきました。

 思い返してみるとストーリーテリングをしてきた中で今ほど声量が必要になったことがなかったと思います。そのため声量が必要なら語り手は声が出やすい姿勢を保たなければならないという基本的なことを忘れていました。ストーリーテリングは聞き手と視線を合わせることを諦めるわけにはいきません。姿勢を崩さずに視線を合わせる方法を考える必要があるのだと思いました。

 教室で立って語る場合、前列の聞き手と視線を合わせるのが難しいと感じています。立って語るには距離が近いのです。かといって座って語ろうとすると後ろの席の聞き手と視線が合いません。立って語るなら前列の聞き手と立ったまま視線が合う位置まで下がってもらう必要があると思います。もしくは後ろの席の聞き手と視線が合う座面が高い椅子を用意するのもいいかもしれません。ストーリーテリングは声を使っている以上、声が出しやすいことにも気を配らないと物語を渡せないと改めて感じています。今後は姿勢を保つことを意識したいと思いました。