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絵本の役割

 東京子ども図書館の『絵本の庭へ(児童図書館基本蔵書目録1)』を見ると、絵本の守備範囲の広さを改めて感じます。絵本をまとめて捉えると内容も読む対象も多種多様で、読む側の意図でどの様にも取り上げることができる柔軟性が絵本の力だと感じます。そのため選ぶことも絵本の力が充分発揮される要素なのだと思います。いつ、どのタイミングで、どの本を手渡すかが子どもに関わるおとなのセンスの見せ所なのでしょう。当然、子どもとの関係性で選ぶ絵本が変わるでしょうし、それは歓迎すべきことだと考えています。その立場の人が手渡すからこそ活きる絵本があると思います。

 では、私たちの立場ではどうでしょう。私たちは絵本を物語を楽しめる様になるための入り口と捉えています。そのため読み聞かせを聞いて物語を楽しんでほしいと考えています。そして絵本をたっぷり楽しむ時期を過ごした後は絵がなくても物語を聞けるようになって欲しいと思っています。ですからストーリーテリング は絵を見ながらではないけれど絵本と同じように物語を楽しむものとして子どもたちに感じて欲しいと考えています。

 この物語を楽しむための絵本、それも読み聞かせで使うので遠目がきいて、絵が過不足なく描かれている絵本となると使える本が限られると『絵本の庭へ』を見て思います。このリストに載っている絵本は心惹かれる絵本が多いですが、私たちが読み聞かせに使えるかといえば、使えない絵本の方が多いのです。集団への読み聞かせは絵本の使い方としては特殊なことなのだと改めて思います。絵本の全体像を忘れないために、こういったリストに触れるのも大事だと感じました。