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切り替えが大事

 久しぶりに『ピーターのとおいみち』リー・キングマン/作 バーバラ・クーニー/絵 講談社を読みました。好きな絵本で何度か読んでいるのですが、読んだ印象が以前と違っていて自分でも驚きました。繰り返しも心地よく音読しても楽しめる感じなのですが、意外とボリュームがあるので、ぴったりの聞き手がなく今まで集団への読み聞かせで使ったことはありません。けれど子どもの視点に寄り添った内容で好ましいと思っていました。この本から受けていた印象は、主人公にとっては冒険といってもいいような出来事を主人公に寄り添ってその時々の心情を感じながら辿る物語でした。けれど今回物語の展開より、ピーターの存在自体が愛おしいと感じました。ピーターが子どもらしい子どもで感じ方や行動が微笑ましいのです。文学は読み手の人生経験によって味わいが変わりますが、絵本も同じだと感じました。絵本はおとなも楽しめるというのはこのことを言っているのだと思います。そういった意味で絵本も自分のために読むことがあってもいいものだと思いました。

 そして集団への読み聞かせと自分のために読むことは別物として楽しむことが大事なのだと思います。集団への読み聞かせで絵本を読んでいると物語の展開に集中します。物語を丸ごと伝えるために自分がどう感じているかという点を実は封印しているのだと気がつきました。集団への読み聞かせは物語を渡すことが最優先で読み手の解釈が邪魔だと感じるのは、一緒に同じ絵本を楽しんでいてもぴったり同じことを感じる必要がないからだと思います。これはおとなと子どもの場合だけでなく、聞き手の子ども同士でも感じ方は同じではないのだと思います。物語を渡すことに重点を置くと読書に近い体験になることを無意識でしたが感じていたことに気がつきました。絵本を楽しむことに変わりはなくとも物語を物語として渡す読み聞かせと自分の読書を切り替えていく必要があるのだと感じました。