一緒に聞く

 先日、「本はともだち」を初めて聞いてくれた学校司書にストーリーテリングについて「言葉だけであんなにわかりやすいとは思わなかった。物語が入ってきた」という感想をもらいました。イメージを固めて物語を伝えていますが、その通りに受け取ってもらえて嬉しくなりました。

今まであまり言及してきませんでしたがその場にいるおとなも聞き手としての役割を担っているのだと思います。担任の先生や学校司書は授業に立ち会っている立場でもあり、子どもたちの聞き方に注意が行きがちです。けれど今回のようにご自身も1人の聞き手として物語を受け取ることで、より子どもたちの聞き方の理解が深まると思います。そして一緒に聞いてもらうことで聞き手が一体化するので語り手も語りやすくなります。ストーリーテリングは聞き手の年齢に関係なく一緒に楽しめるものです。我慢して付き合う感じのものではないところもストーリーテリングの魅力なのだと改めて思いました。

 語り手として上達するには聞くことの上達が必須と考えているので私たち語り手は物語の展開に集中して聞くことが習慣化しています。けれど一般的にはおとなは物語の展開に集中することが難しいと感じてきました。そのため私たちのおはなしの会では聞き手として子どもとおとなが混ざることを避けてきました。子どもたちの集中の邪魔になると考えてきたからです。けれど今回の体験でおとなでも何のサポートも必要とせずにちゃんと受け取れる人もいることを知りました。わからないと決めつけずに物語の力を信じておとなにも聞いてもらうことも必要なのかもしれません。