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考え続けること

 仲間と活動するためには目標が必要だと思います。ただ目標は具体的すぎても、曖昧すぎても活動に支障をきたすと感じています。人に関わる活動は相手があるだけに一方的に型にはめるような形にはできないため曖昧なものが好まれます。特に読み聞かせは人だけでなく本という多種多様な事象や考え方を表現できるものを使うので目標を決めることが難しいのだと感じています。よく使われるのは「本の楽しさを伝える」とか「子どもと本をつなぐ」などですが、どこでも誰でも使える守備範囲が広い目標で、どの活動も否定しない耳障りの良いものです。そのため目標があっても自分が何を目指しているのかを見失いがちです。様々な活動があることは豊かなことだと思いますし、他の活動内容を否定する必要はありませんが自分たちがなんのために活動しているのか考え続けることは大事だと考えています。

 私たちの活動もストーリーテリング や読み聞かせは読書の入り口という感覚はありましたが最初から整理がついていた訳ではありません。実際、読書が勉強ではなくおもしろいものという感覚があったら読書がもっと身近になると思っていた私が、ストーリーテリングをするおはなし の会というものがあるということを知ったことが始まりのきっかけでした。そして何か問題が起こるたびに「どうしたいのだろうか」と考え続けてきました。これはどうしても守りたいことを洗い出す作業でもあったと思います。大事なことは色々あるけれど譲れないものは何かと整理してきたのです。また活動は1人でしている訳ではありませんからグループ内での価値観のすり合わせも必要ですし、聞き手が必要な活動ですから対外的に説明できる必要もあります。考えて言葉にする必要もあったのです。そして長く続けてきたから迷わなくなるかといえば、それはなく今も考え続けています。続けたからこそ見えてくるものや立ち会うことができることがあるからです。幸いなことに頭が頑丈なたちなので、考え続けることは苦になりません。そして一緒に活動してくれる仲間がいてこそ、考え続けてこられたのだと思っています。