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子どもたちの集中力

 集中力は集中の深さが変化し持続する時間が限られ、また個人差があります。体温のように測って比べることができるものではないので、主観的、もしくは側から見てどう見えるかで判断されていることが多いと思います。そして集中してもの事に取り組めるかが子どもの評価項目になることはままあります。

 子どもたちが物語を受け取っていくには集中力が必要だと考えています。そして集中力の根源は好奇心だと感じています。そのため集中に至る入り口は、気持ちが惹かれる、目が奪われるといった感覚だと思います。「おはなし の会」でろうそくを使ったり、絵本の取り出し方を工夫するのはそのためです。そしてそのまま物語に入って結末まで留まっていることが集中が継続したことだと考えています。

 集中力を考える時、聞き手の観察は欠かせません。集中の継続が困難な聞き手の場合、集中し直すための工夫が必要になります。短い物語をいくつも組み合わせるのは集中の仕切り直しの効果が望めます。逆に集中が継続する聞き手の場合、本を変えることや語り手の入れ替えもせっかく続いている集中を途切れさせてしまうのでもったいないと感じます。どんな本を組み合わせるかを決めたプログラムを作る重要性はここにあります。選ぶ本の内容の検討や子どもの好みを反映させることだけでなく、聞き手の集中力を保つことを考える作業でもあります。子どもの集中力に注目すると語り手のあり方もプログラムについても考えやすくなると思います。