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肯定感のあり方

 上田市教育行政評価懇話会という会議で、教育長からご自身が小学校一年生の担任をされた時の経験から絵本がどれだけ魅力的なものかというお話を伺いました。図書の時間に子どもたちと学校図書館に行った際、子どもたちがどれほど楽しんで絵本を読んだか、そして先生ご自身が絵本に魅了されたのかというお話でした。絵本はおとなが読んでも楽しいとおっしゃる言葉に力があり、楽しい時間を過ごされた事が伝わってきました。

 またある委員の方が、公民館活動の野外活動で子どもたちが川下りをする際、ボランティアとして関わった話をされました。ライフジャケットを身につけた30人程の子どもたちが順番に身ひとつで川下りを楽しんだのだそうですが、子どもたちも楽しんだけれど、ボランティアで関わったおとなが子どもたちの姿を見て童心に返り、もしかしたらおとなの方が楽しかったのかもしれないという話をされていました。

 二つの話を聞いてどちらも活動に対する強い肯定感を感じました。絵本と川下りでジャンルは異なりますが、子どもたちが取り組むことに対する肯定だけでなく、絵本と川下りに対する楽しみを、並走しているおとなが強く感じていることが活動自体を活性化している気がします。そしてその楽しい物という感覚はご自身の過去の体験を呼び起こしている点と、共にいる子どもたちの姿が相まってより強い肯定感を生んでいると思いました。

 私たちの活動も聞き手である子どもたちから絵本の力を感じさせてもらう感覚があります。けれど子どもたちからもらうだけでは喜ばすことに比重がかかりすぎて本来の目的を見失う危険があります。やはり自分自身が絵本の力を信じている事が欠かせないのだと思います。絵本の力が信じられるのは、自分が読み聞かせを聞いた経験が物をいいます。子ども時代に聞いていなくても読み聞かせとして絵本を聞く体験を積む事が大事だと考えています。そして聞く経験を積み重ねて絵本を読み聞かせで聞くように読む事ができるようになっていたら自分で読んでも経験になると考えています。