· 

画面越しに

 人と会うことに制限がかかる生活が続き、親族であっても会えないことが増えました。直接顔を合わすことで、親密さが形作られていたのだと今更ながらに思います。感染症の蔓延を避けるための一時的な避難方法として直接会うことを自粛してきましたが、新しい生活様式として徐々に私たちの生活が変化してきているのではないかと感じています。この状況が改善されなければ冠婚葬祭などの執り行い方が大きく変化していく感じがします。

 日常的には制限がかかった分、遠くに住む親族との交流はネットを使った画像でやりとりすることが以前より取り入れられるようになってきました。これからは画面越しのやりとりが特別なことではなくなっていきそうです。私たちの世代だとSFの世界といった印象があったものが、インフラとして準備ができていて私たちの使う意欲次第だったことにこうなってみて気がつきました。

 そんな中で、お孫さんと画面越しに遊ぶようになったという話を友人やそのまた友人から聞きました。電話のように話をするだけでなく、読み聞かせをしたり手遊びをしたりとお孫さんが飽きないよう反応を見ながらある程度まとまった時間遊ぶんだそうです。画面越しとはいえお孫さんを預かる感じでしょうか。そして祖父母世代は体力的に下り坂なので身体を使わずに座ったまま遊べるので友人たちも意外と楽しんでいるようです。ところがそのまた友人のひとりが警戒レベルが下がった時期に直接お孫さんに会う機会が作れたので、勇んで会いに行ったら怖がられたという話を聞きました。怖がった子は話を聞いた中で一番幼く、物心ついてから直接祖父母に会う機会があまり持てなかったという子でした。けれど画面越しでたっぷり遊んでいたので祖父母側は懐いてくれるものと思ったのでその反応に驚いたというのです。その子はまだ自分の気持ちを説明できる年齢ではないので推測に過ぎないけれど画面から人が出てきた感じがしたようだというのが祖父母側の感想でした。それを聞いて子どもたちが画面越しの交流をどう捉えるかは予測がつかないこともあるのだと思いました。小学生以上のお孫さんの場合、画面越しの交流は好評で楽しんでいるという話も聞くので、年齢にもよるのかもしれません。新しいツールでの交流はまだ始まったばかりで手探りのことが多いですが、自分たちのやりたいことに合わせて使いこなしていく時期に入っているのだと感じました。私たちも今のところ画面越しを想定していませんが、画面越しで何が伝わるのかは実験していく必要があるのかもしれません。