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変化に対応

 以前に紹介した『イワンの馬鹿』トルストイ/著 ハンス・フィッシャー/絵 アノニマ・スタジオ を翻訳した小宮 由さんの講演会の案内をもらいました。一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)が主催する「子どもたちを物語の世界へ~絵本から読みものへ~」という講座が全国3カ所で開かれるそうですが、10月2日(土)に長野市でも開かれます。この講座は午前中に講演会、午後は座学というプログラムになっていてその午前中の部で小宮さんのお話が伺えるそうです。

 ご存知の方も多いと思いますがJPICは1991年に設立され、読書推進活動の展開や出版・読書に関する学びの機会創造などの各種事業を展開し、出版業界・読書推進関連団体として活動されています。中でも読書アドバイザーという資格を創設しその養成に尽力され、JPICといえば読書アドバイザーという印象があります。実際子どもに接する現場にいる様々な職種の方が取得される資格なので子どもの本という括りで普段顔を合わせる機会がない人たちが共に学び活動していくという興味深い活動をされています。

 ところが今回、コロナ禍の中での講座ということで事前申し込みの動きが非常に鈍化しているのだそうです。講座の内容以前に集まることに無意識にブレーキがかかるのは、コロナ禍の生活が長くなってきた今、私たちも抱える悩みです。参加する側として積極性が欠けている自覚があります。そして緊急事態宣言を体験した今、各種講座やイベントの中止が起こることは珍しいことではないと私たちは学習してしまいました。参加することへの諦めが身についてしまっているのかもしれないことに愕然としました。

 ただ私たちは人を集める側でもあります。それでも足を運ぼうと思ってもらうこと、もしくは集まらなくてもできることを真剣に考える時期が来ているのだと実感しました。限られた期間我慢して乗り越えるつもりだったコロナ禍はその考え方では対応できないことがわかってきました。私たちは何を伝えたいのかから目を逸らさずにこの事態をどう乗り越えていくのか、新しいルールとの共存を探りたいと思います。