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声にのせる

 読み聞かせやストーリーテリングに取り組む際、登場人物のセリフやオノマトペの言い方が気になってその部分だけ取り出して練習したくなる人は詩を音読することをお勧めしたいと思います。この場合、詩といっても音の連なりで表現される、意味から入らないものを試して欲しいと思います。中でも絵本になっているものが絵の助けを借りられるのでまず取り組んで欲しいと思います。お勧めなのは

『もこ もこ もこ』谷川俊太郎/作 元永 定正 /絵  文研出版   

『もけら もけら』山下 洋輔 /作 元永 定正/絵  福音館書店   

『ころ ころ ころ』元永 定正 /作 福音館書店  

あたりです。書いてみたら私の好みが反映されて元永さんの本ばかりになりましたが、絵に合わせて声にのせていくのでイメージと音読の関係が体感できます。お勧めした本は音読するにあたって正解がなく読み手によってかなり違った読み方ができます。絵から受け取るものは人によって違うものですが抽象画のため受け取るものがより感覚的になるからだと思います。こういった絵本で絵に合わせて声に出して読んでみてください。慣れていくと絵に合わせて声で表現することがどういうことなのか腑に落ちてくるはずです。こういった抽象画の絵本を苦手とする人もいると思いますが、トレーニングだと思って慣れていって欲しいと思います。

 そして絵本に慣れたら、次は意味はあるけれど音が重要な役割を果たしている詩の本に取り組んで欲しいと考えています。お勧めは

『ことばあそびうた』谷川俊太郎/詩 瀬川康男/画 福音館書店  

『のはらうた』くどうなおことのはらみんな/作 童話屋  

『しゃべる詩あそぶ詩きこえる詩』はせみつこ/編 飯野 和好/絵 冨山房 

どれも定番で目新しさはありませんが、やはり子どもに読んで聞かせるのに最適な詩の本だと考えています。こうやって書いてみて谷川俊太郎さんはいうまでもなく『のはらうた』の設定を生かした作者名にも現れている工藤さんの遊び心、舞台で詩を使った表現者として活躍したはせみつこさんの詩のセレクトは素晴らしいと思います。これらの詩は声に出すことがどういうことなのか、声に出すことで伝わるものが何なのかを教えてくれます。こういった本を音読することで声にのせるということがどういうことなのかを覚えていくことができます。