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今までもこれからも

 コロナ禍で人と会う機会が減り、話し合いの場を持ちにくくなったのでHPを作ったのですが、外に発信することで、自分たちの活動の振り返りにもなることに気がつきました。自分たちはあまり意識することがなかったおはなしざしきわらしの会の発足年や発足理由などを聞かれることがあるからです。私は記録を取ることやそれを保存することが苦手で過去をあまり大切にしてきませんでした。そのために自分が作ったリストですら配った相手が保存していることで今見ることができるという事態になっていたりします。

 また振り返ると漠然と感じていた時間の経過に改めて驚いたりしています。活動を続けてこられたことを喜んでいいのか自分の年齢が突きつけられてがっかりした方がいいのか悩ましい感じがしています。一緒に活動していた年上の仲間が語ることを引退していったこともあり、年齢を重ねたらどこかで引退を考えなければならないのかもしれないと思ってきました。けれど私が一方的に憧れ尊敬している国立おはなしの会の平塚さんが80歳を超えた今も現役で語っていらっしゃるという話を聞いて考え方が変わりました。平塚さんのように年齢に合わせてその年齢で可能な形で語り続けるのも語り手としての1つのあり方だと思います。平塚さんという稀代の語り手を引き合いに出すこと自体おこがましいですが、語り手のあり方を見せてもらっているのだと思います。平塚さんは今はご自宅でしか語られないそうですが、ご自身も語り聞き手も語るという場を自ら確保して現役を貫いていらっしゃいます。そして「おはなし」を戻すだけでなく今も新しい「おはなし」に取り組まれているのだそうです。そんな年齢のせいにしない姿勢に憧れます。子どもたちの姿に希望を感じていましたが、先を行く人たちの姿も希望につながるのだと思います。生涯現役を貫くことは簡単ではないであろうと思いますが、それでも実践していらっしゃることに自分の姿勢を正される思いがします。