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赤ちゃん絵本の楽しみ

 物語を物語のままに受け取れるにはある程度の語彙力が必要です。そして2語文や3語文と言われる単語を組み合わせた文章で要求や自分の行為を表せるようになっていないと物語は受け取れません。大まかな発達の目安として2語文は2歳代、3語文は3歳代で話始めるといわれています。ですからこの辺の年代に赤ちゃん絵本と物語絵本の境があるのだと思います。この発達の流れを踏まえると赤ちゃん絵本を読み聞かせる時に言葉を発することを促すことは理に叶っています。

 実際読み手が特に促さなくても読み聞かせを聞いている子どもは絵を見てそれを表す単語や繰り返し出てくる言葉を一緒に言いたがります。この段階をたっぷり楽しむことで語彙が増えていくのだと感じています。語彙は日常会話で増えていくのが基本ですが絵本もその役割の一端を担っている部分があります。読み聞かせをしていると言葉を覚え始めた子どもたちにとって知っている言葉を実際に声に出すこと、知らない言葉を繰り返し口にすることがどんなに楽しいことなのかを教えてもらっているような気持ちになります。語彙を増やそうと訓練とばかりに無理に言葉を繰り返させたりは逆効果ですが絵本は読んでいるだけで何度も言う機会ができたりするので無理がかかりません。

 とはいっても自分が子育てをしていた時は子どもが飽きもせず同じ言葉を繰り返すことや同じ絵本を繰り返し読んで欲しがることにうんざりしていました。子どもにとって繰り返すことが必要だとなんとなくわかっていても繰り返しに付き合うことが苦痛でした。けれどここを割愛しては言葉が育たないのだと今は納得しています。私自身も自分が子育てをする前に子どもが育っていく様を見る機会がほとんどありませんでしたが、今の子育て世代は私たちの世代よりもっと子どもが育つ様子を知らずに子育てに取り組んでいます。加えて効率的なことが評価され出来るだけ無駄をなくす生活が一般的になってきている今、子どものこの繰り返しを歓迎しないどころか子どもが繰り返すことを避ける傾向が強くなっていると感じています。繰り返しを子どもが楽しんでいる様子が手に取るようにわかる赤ちゃん絵本を親子で取り入れてもらえるよう、私たちは赤ちゃん絵本も積極的に取り入れ読んでいきたいと考えています。