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言葉の習得

 昨日、担当の先生のご好意でMIMの授業を見学させていただきました。授業は小学校1年生対象で1クラス30名を無作為に10名と20名のグループに分け、10名が別教室に移りMIMの先生との授業、他の20名は自分たちの教室で担任の先生とMIMの教材を使った授業という形で行われていました。そして見学したのはMIMの先生の授業です。MIMの授業は、子どもたちの言葉の習得状況が浮き彫りになるものでした。具体的なMIMのやり方まで私たちが学ぶ必要はないと思いましたが子どもたちの言葉の習得状況は知っていた方がいいと感じました。

 特徴的なのは子どもたちが言葉を自分のものとして蓄積していないことが反応の端々に現れていることです。これは私たちも子どもたちに物語を渡していて、なんとなく感じていたことですが、体系化された指導法に当てはめることで可視化された印象でした。言葉は実物もしくは絵などと一体化して習得されていくと漠然と思っていたのですが、言葉を知っていてもそれが何なのかわからないという不思議なことが起こっていました。私が思っていた語彙が少ないということとMIMで指摘されている語彙が少ないということは同じではありませんでした。言葉を知っていること=そのものが何かわかっていることではないからです。そしてそこを埋めるために絵と言葉を一致させるトレーニングが文字の表記を合わせて組まれていました。実際見学していた時も、しりとりを自分で書いていく時間がとられていたのですが、砂利という言葉を思いついた子が「砂利って現実にあるもの?」と言っているのに驚きました。言葉として出てくるのに何かわからずに音だけで蓄積しているのです。こう言った質問にMIMの先生は丁寧に答え「細かく砕いた石なんだけれど見たことない?」と声がけしながら実物を思い浮かべられるよう説明していきます。また野宿とか一画とか驚くような言葉を選択する子もいるので先生はそう言った言葉を見逃さずに書いた子に意味を質問しながら言葉と意味を一致させていました。1年生の場合全てひらがなで表記していくので何を意図してその言葉を書いたのかを確認する必要が出てくることは想像できますが、たとえ平仮名でも文章で読んでいれば前後の言葉で推測できるのでこんなやり方もあるのだと感心しました。

  MIMの授業を見学したことで小学校1年生の自分がMIMで取り組んでいるようなことをどうやって習得していったのかを思い返しました。私の場合MIMで取り組んでいることは、ほとんど子ども時代の遊びの中に組み込まれていたのだと思います。絵本、絵のかいてある積み木やカルタ、しりとりや早口言葉そして回文など遊びの中にどれだけ言葉の習得を助けるものが潜んでいたのかと思います。けれどこの体験がない今の子どもたちにとって言葉と実物を結びつけるサポートが必要になってきているのだと受け止めました。ストーリーテリングが楽しめる年齢が年々上がっていっているのを聞く力の低下と捉えていましたが言葉と実物が結びついていないためイメージを受け取ることができないことも大きな理由だということに気がつきました。私たちはこれを踏まえてプログラムを考えていく必要があると思います。