· 

子どもにとって

 0歳から3歳の子どもたち対象のおはなしの会をしていると、子どもは子どもに無条件に興味を持つのだと感じます。人が社会を形成している基盤はこんなところにも現れていると感じます。公園デビューという言葉があるように、集団に入らないまでも子どもたちは徐々に自分以外の子どもたちに出会っていきます。そして自分がやったことのないことをしていたりすると、気になるように作られているのだと感じています。真似することは子どもにとってのコミュニケーション手段であり、表現手段の広がりでもあり、新しいことを覚える手段でもあるのだと考えています。

 昨日も赤ちゃんのクラスのおはなしの会に初めて参加してくれた子どもたちがいました。特に1歳になったばかりの子の一人が、絵本を聞きながら体を動かしたり、声を出したりする年長の子どもの動きに釘付けになり絵本そっちのけでその子を観察し徐々にその子に近づいて行くのを見て、年長の子どもの動きがすごく新鮮なのだと微笑ましく思いました。こういった刺激はひとりでは受け取ることができません。親御さんとしてはおはなしの会に参加しているのに絵本に興味を持たないのは好ましいこととして感じられないかもしれません。また我が子が興味を持った他の子の行動がお手本にして欲しくないと思うようなものであることもあるでしょう。けれどまずは知ることから始まるのだと思います。親の立場では我が子にはよりいいものや好ましいと思うようなものに出会って行ってほしいと願うものです。けれどいいものや好ましいものという感覚は比較対象があってこそ成り立つものです。まっさらな子どもに変な色をつけたくないと思うあまり囲いすぎると逆に何がいいのか自分で判断できないことにつながるのではないかと思っています。そして子どものやったことに対してそれをどう見てどう感じるのかを伝える時間は親子にはたっぷりあります。そして長所と短所は表裏一体です。どんな行為も長所としてみることが可能です。子どもの行動はその段階では問題行動に見えることがあっても長所の現れとして捉えていくと子どもの才能が見えてくるような気がします。とはいっても自分が親の立場のときはなんでこんなことをするのだと子どものやることに目くじら立てていた自分を不本意ですが覚えています。だからこそ親子だけで過ごす時間とおはなしの会などで他の子どもたちや私たちのような親でないおとなと出会う時間の両方あったほうがいいと考えています。