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子ども時代を

 師走とはよく言ったもので、毎年12月に入ると何がどう変わったということもないはずなのになんとなく忙しい気分になります。アドベントカレンダーも大好きですが最近は毎日カウントダウンしていくのがプレッシャーに感じたりするので純粋に楽しめないのは歳のせいかしらと思ったりしています。また季節のせいにしていいのか迷いますが私自身じっくり本を読もうと思えなくなる時期でもあります。子ども時代のように何もかも後回しにして本に没頭していた頃が懐かしく、やるべきことからやりなさいと親に叱られていたことを思い出します。

 思い返してみると没頭することを叱られつつも温かい目で見守られ許される子ども時代は貴重だったのだと思います。子ども時代には子ども時代にしか味わえないことがあります。何もかも忘れて好きなことに没頭し夢中になる体験は子ども時代の醍醐味だと思います。私は偶然それが読書でしたが、没頭するものはなんでもいいのだと思います。このリミッターが外れる感じが一人一人のその後の人生のエネルギー源の一つだと感じるからです。加えて没頭する体験が大事なのであって没頭するものが大事ではないと思います。対象が変化してもその没頭する感覚は活きるからです。思春期を過ぎて自分探しの沼に落ち、抜け出せなくなったりするのは子ども時代に没頭する体験がなかったのではないかと推測しています。答えがあると思い込んで正解を探しているように見えるからです。没頭する体験は我を忘れることで正解を探すこととは真逆の感覚です。子どもたちが没頭することに対して手放しで肯定できなくても仕方のない子ねぇという温かい目を持っていることが私たちができる次世代への応援かもしれません。