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言葉が溢れる時期

 昨日 保育園で出張おはなしの会がありました。コロナ禍でなかなか計画通りには行うことができず今年度2回目にして最終回というおはなしの会でした。私は2歳児のクラスに入ったのですが、1クラス4名のうち3名が女の子というクラスでした。子どもたちは三語文で表現することができるようになったことが楽しくて仕方がない様子で絵を見ては自分で言葉をつける子が出たりして微笑ましく思いながら絵本を読みました。そして集団で過ごしているので周りの子がつられて積極的に言葉にしようとする感じがあって興味深かったです。今まで、聞いた言葉を復唱する姿はよく目にしていたのですが、今回のパターンは初めて目にしました。言葉が育つ様子に立ち会った感じで絵本の役割の新しい一面を見せてもらいました。自分で読めるようになる時もそうですが、喋れるようになることは子どもにとってとても嬉しいことなのだと伝わってきます。楽しそうに言葉にする姿は言葉の重要性を私たちに教えてくれます。強制されるのではなく自発的に話したくて仕方がない、言葉を使いたいというこの時期にたっぷりやりとりできることも言葉の習熟の土台なのだろうと思います。本来子どもの学びはこういった楽しさに満ちたもので遊びと学びが同義だと言われる所以なのだと思いました。

 おはなしざしきわらしの会では3歳以下の子どもたちには赤ちゃん絵本が適していると考えています。赤ちゃん絵本は最初から順にページを追っても追わなくても楽しめる作りであること、書かれている言葉が、出来事を伝えるのにわざと言葉を減らして読み手が言葉を足すように作られていることが特徴だと捉えています。ですから聞き手の子どもたちの反応を拾いながら言葉を足していく読み方をするのですが、今回のように言葉が溢れてきている感じの子どもたちだったら絵だけ見せて子どもたちが文章をつけてから読んでいくのもおもしろいと思いました。「そういう風にも見えるよね おもしろいね」という肯定の言葉と共に「ここにはこう書いてあるよ」と読んでいくという読み方もあると子どもたちに教えてもらいました。こうやってぴったりの読み方を探していくのも文章が足りない赤ちゃん絵本の楽しみ方だと思います。ただ赤ちゃん絵本は聞き手次第なので次に同じ状況の子どもに出会う保証がないのが難点ですが、引き出しが多いことはいいことだと思っています。