· 

伝承に連なって

 昨日は上田図書館で「おはなしと本の会」がありました。感染警戒レベルが下がっているので赤ちゃんクラスのプログラムにわらべうたを取り入れることができ、久しぶりにわらべうたを楽しむ子どもたちの姿を見ることができました。

 おはなし会でわらべうたをする時には、子どもたちはお家の人のお膝に乗ってもらい、わらべうたを先導する人と向き合う形で楽しみます。実際子どもたちを歌に合わせて揺すったりくすぐったりしているのはお家の人なのですが、子どもたちの視線はわらべうたを歌っている人に注がれます。そのため出来るだけ子どもたちの目を見ながら視線を合わせることを意識します。視線が合うことで表情が変わっていくからです。初めて参加する子どもたちやわらべうたに慣れない子は突然歌が始まって急に揺すられたりして戸惑っているのだと思います。表情の固い子に視線を合わせて歌いかけると表情が和らぎ笑顔が出てきます。常連さんで既にわらべうたを楽しんだ経験のある親子は子どもの反応を見ながらお家の人が子どもと楽しんでくれるので、歌い手は表情の固い子に集中して大丈夫なのです。

 そして赤ちゃんクラスに兄弟に付き合って3歳以上の子どもたちがきてくれることもあるのですが、その子たちも意外とわらべうたが好きです。照れ臭そうだったりしますが、お家の人に抱っこしてもらったりくすぐってもらったりすることは心地よいのだと思います。そして弟や妹を自分の膝に乗せて自分がやってあげようとする子もでます。わらべうたのような伝承の遊びには人が育っていく過程の知恵が詰まっていると感じます。視線を合わせることや触れ合うことは人が人として関係を結ぶ上で欠かせないことです。そして年長者の振る舞いなどもこんな体験の積み重ねから培われていくのかもしれません。私たちの活動も劇的な効果を生むものではありませんが、伝承の流れの末端にあるのだと感じました。